カメラを持って息をひそめ、
かすかな気配に感覚を研ぎ澄ます。

こんなに身近で、色彩美・造形美を兼ね備えた連中が
日常というドラマを彼らなりのやり方で紡いでいる。

その世界を覗き見たい。

彼らの感覚器は私たちのそれと違う。
頭部に突き出た触角で草いきれを感じ、
規則正しく敷き詰められた複眼で木漏れ日を細かく砕く。
脚の付け根の鼓膜を震わせるのは、
求愛の旋律か、捕食者の忍び足か。

私は、そんな彼らをレンズの目で知覚し、
シャッターのまばたきで記憶する生き物となる。
視界はブラックアウトと同時に脳裡の光景に切り替わり、
そのイメージは生々しい生命の印象となって焼き付く。
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